マイルスの“ワースト5アルバム”

 日本ではマイルス・デイヴィスブルーノート・レコードが神格化されていて、それに関する本や雑誌が次々に発売されるが、一部の評論家を除きジャーナリストは礼賛一辺倒で本質や真実が見失われている処がある様に思う。批判的記事を余り見ないのは何故なのか?マイルス批判もあってしかるべきではないかと思う。そこで私なりにこのブログでもあえて批判的な事も書いた。(こういったズバリ切り込んだ辛口の評論は希だろう!)ここに彼のワースト5のアルバムを短評交えて挙げてみたい。何故こんなリストを作ったかといえば、マイルス程ずば抜けて凄い人の音楽はモーツァルトと同じで、聴けば誰にでも直ぐ解るジャズであり、本来解説不要の音楽といっても良いからだ。
ちなみにベスト15は以前に解説入りで紹介済み。


● 『カーネギー・ホールのマイルス・デイヴィス
  寄せ集めで、中途半端であり、印象も稀薄。

● 『クワイエット・ナイツ』
  ギル・エヴァンス楽団との共演でブラジルをテーマにした曲とカルテットの1曲を加えているが、中途半端な作品に思える。

● 『ドゥー・バップ』
  ヒップ・ホップやラップへの共感?何もマイルスがこんな事までやらなくてもと思う。

● 『アット・ラスト!マイルス&ライトハウス・オールスターズ』
  1953年9月の録音で、マイルス自身調子が悪かったせいもあり、余り冴えないウエスト・コースト・オールスターズとの共演。チェット・ベイカーの演奏が1曲入っているのもアンバランス。マイルスとチェットが共演していたら面白かったかも・・・


● 『ライブ・アット・モントルー
  亡くなる2ヶ月前の1991年7月のライブ録音。今まで過去を振り返る事の無かったマイルスが遂に昔の作品を再演した汚点を残す演奏。さすがのマイルスもつい弱気になり昔を振り返ってしまったのだろう。とても悲しく、淋しい演奏。やはり人間、体調を悪くすると挑戦意欲を失ってしまい、弱気になるものだ。それが過去の演奏を再現する演奏に向かわせたといえる作品